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手打ちと機械打ち

遷宮以降、観光客でごった返す出雲大社周辺。参拝と出雲そばはセットと考えられていて、毎日そば店には行列が出来ています。家族経営のお店が多く、毎日そば打ちする量が限定されるため、午後3時ぐらいには売り切れ御免という状況です。とてもすべての観光客に満足してもらえる状況ではありません。中にはそばの品質の劣化や量の減少など、不満が寄せられているお店も存在します。
大勢の観光客に満足していただくには、機械に頼ることもやむを得ないでしょう。そばの製麺技術は向上していて、手打ちと遜色ない出来栄えに仕上がる製麺機が存在します。食べ比べても解らない程ですが、そば好きにははっきりとした違いが解ります。それは食感です。機械打ちでは表面が滑らかとなり、つるっとした食感となるのに比べて、手打ちは表面がざらっとしています。そばを延しているときに表面に凸凹が出来るからだと推測します。そば打ちというぐらいですから、そばを延し台に打ちつければ表面が粗く仕上がる訳です。これが食感となり、そこから風味を感じる度合いが高まる訳です。だしが絡まりやすいので辛めのだしはちょっとつけて食べるのが良いとされています。江戸では以前は機械打ちが主流でしたので、そばに絡みにくいので辛汁になったという説もあります。また、江戸の有名な老舗の中には、水回しが肝心だと捏ねは手作業、延し切りを機械でというお店も存在します。また、捏ね機を使い、そば玉を作り、捏ねの仕上げから手作業のお店も多く存在します。どこまでが手打ちそばと名乗って良いかといえば難しいところですが、そばの食感を大切にするということで言えば、延し切りだけは譲れないところでしょう。
 最近、偽装問題が大きく報道され、皆の関心が高まっています。機械打ちのお店が、お客様に印象の良い、「手打ちそば」と表記した看板を掲げることは避けて欲しいものです。
大勢の観光客の往来があるそば店は、お客様の欲求を満足させるために、機械打ちのそばを提供することは悪いことではないと考えます。
しかし、「手打ちそば」には打ち手の想いが込められていて、機械打ちには決して真似のできない温かみを感じるそばに仕上がることを付け加えておきます。


手打ちそばと機械打ちそば(どっち?)
手打ち
機械打ち

出雲駅周辺で夜営業の手打ち出雲そば店開店しました


ほしえん 005
以前から、駅周辺で宿泊されている観光客やビジネスマンから、夜に出雲そばを食べさせてもらえるお店はないかと問い合わせが多数寄せられていました。
その願いが叶い、今月、出雲の夜に「石臼碾き手打ち 出雲そば 」を提供するお店がオープンしました。「ほしえん」は駅前のパルメイトで営業しておられましたが、10月2日、駅前通り北へ約100mの場所に移転オープンしました。ラーメン店エトワールも閉めて、合体した格好です。早速 お昼に行きました。
店内は広く、ラーメンとそば、どちらでも選べるようになっています。
(隣でラーメンを啜られると匂いが少し気になります)
そばは毎朝、丹念に打たれた 石臼碾きそばです。だしは以前よりうまみが増し濃度も濃くなり、バランス良くなっていました。
営業時間は 昼12時~3時 夜6時~翌1時30分 (定休日:日曜日)
これで 繁華街で飲んだあとシメに本格派手打ちの出雲そばを食べることが可能となりました。しかし、店主は睡眠時間がきちんととれているのか心配です。若いから大丈夫でしょうか。
お店に貼紙がありました。
「酔っぱらい客 お断り」
深酒したあとの来店は慎みましょう。

<店内の様子>
ほしえん 004
<釜揚げそばと割子そば>
ほしえん 001

出雲地方のそば屋状況

今年の大社周辺の賑わいは異常です。曜日関係なく、毎日大勢の観光客、参拝客で溢れています。参拝と「出雲そば」はセットでお考えのお客様が多く、大社近隣のそば屋は、開店とともに行列が出来ます。手打ちのそば店は、午後2~3時で品切れ閉店となり、観光客には不満が生じています。各そば屋は家族経営のお店がほとんどですから、少数のそば打ち職人しかいません。連日100人~200人前を限られた職人で打つのは、気力、体力ともに消耗してしまいます。また、翌日の仕込みで夜遅くまで作業が続きます。
品質を落として、または一人前の量を減らしてまで多くのお客様に提供することは商いの道に反しています。利益第一とすれば、結果は客離れにつながることでしょう。 大社から離れた出雲市内のそば屋もカーナビやインターネット情報等から、観光客で一杯です。私たちそば通がお昼にゆっくりそば屋で食べることが出来ない状況です。
そこで、県外から来られた観光客の方々にアドバイスしたいと思います。1時間以上そば屋に並ぶのはやめましょう。周辺の他店舗へ向かうか、いっそのこと島根県内の他地域にある手打ちそば屋を目指してください。自家用車でお越しの方は、少し足を延ばして、松江や奥出雲、三瓶方面のそば屋を訪れるという企画はいかがでしょう。時間を有効的に使い、出雲地方の景色を車窓から眺めドライブがてら少し広域的な観光をしてみるのも一興です。特に松江までは、高速道路で繋がっていますので40分程度で松江の名店に辿り着けます。奥出雲までは1時間以上かかりますが、地元産のそばがその育った環境の中で味わえます。観光名所、秘湯もたくさんあります。「ふるさとしまね」を訪れたお客様に、せっかくですので、田舎ののんびりとした空気のなかで過ごしていただけたなら、新たなしまねの良さを発見してもらえる気がします。
松江のそば(割子そば たくさんの薬味と辛めのだし)上田そば 001
奥出雲のそば(横田小そば等の在来種を自家製粉したそば)
山県、 002
三瓶のそば(三瓶在来種を自家栽培、自家製粉したそば)
三瓶そばこのか

そばとだしの相性

粗挽きそば(太目)
砂 001
そばとだしの関係は重要で、そばの太さや食べ方に応じただしの調整が必要です。
だいたい、そばの種類とだしの当たりの関係は、
●そば粉の含有量が多いほど、汁は濃く、当たりはきつく
●小麦粉が増えるにつれて薄く、穏やかに
●そばの色が濃いほど汁は濃く、白いほど穏やかに
●そばが細いほど汁は濃く、太くなるほど薄く 
●あげだしはきつく、出前は穏やかに
と言われています。この中で「そばが細いほど汁は濃く・・・」とありますが、これはざるで食すときのことだと判断しています。出雲そばを割子で食べるときは、だしを直接かけてからめる訳ですから、逆に、そばが細いと濃いだしは辛く感じます。出雲そばでは、そばの太さに応じて濃くするのが妥当ではないでしょうか。
以上からいえることは、荒臼碾きの太いそばは、汁は濃く、あたりはきついほうが相性良いということになります。割子にかけるだしの量にも左右されますが、薄いだしをたっぷりかけると、だしの味が優ってしまいます。粒子の粗い太めのそばにはあたりがきついだしが合うので、少量のだしをかけ、そば本来の風味をひきたてて食べたいものです。あくまでだしは脇役ですので、だしに合わせるのではなく、そばを活かすだしの調整が必要となります。

左が二八、右は十割そば
砂 003

道しるべ

知る人ぞ知る「かくれ庵」
 とても解りづらい場所であるため、迷わずにお店に着かれたお客様はごく僅かでしょう。
かねてから道案内の看板を建ててほしいと要望がありましたが、開店7年目にしてようやく県道沿いに道しるべが出来ました。
かくれ庵 013

かくれ庵 012
看板に使われている割子の椀は本物です。
(お店で使用されている椀よりかなり上物)

この看板を目印に東へ一直線。宍道湖西岸にお店があります。
かくれ庵 011
この傾いている看板(お店は傾いていない?)がお出迎え。
部屋にはいると斐川平野が一望できます。静寂な心地よい時間が待っていて、心が癒されます。
かくれ庵 006
藤岡大拙さんの書
かくれ庵 008
たくさんの野鳥が飛来してきます。かくれ庵 005
このような心を和ませてくれる場所ですから、どんなそばがでても美味しく感じるものです。
そばの写真はあえて載せませんので、味を確かめに、また、この風景を楽しむために一度お店を訪れてみてはいかがでしょう。

出雲大社大遷宮の効果

大遷宮を迎えた大社のそば店(新装開店)
大社そば 3
みやげもの店だったお店で急遽そば(製麺)を食べることが可能となった
大社そば6

60年に一度の出雲大社大遷宮にあたり、出雲大社周辺はゴールデンウイーク(70万人の観光客)以来、平日でも多くの観光客で賑わっています。観光客の多くは大社参拝と出雲そばをセットとして考えておられるのか、大社周辺のそば店は常に行列が出来ています。ピークでは1時間40分待ちとなったお店もあったようです。新しくオープンしたそば店も開店日から行列という事態になりました。大社のそば店は約15店舗ありますが、そば店を訪れる観光客全てを賄えるだけの店構えではありません。ほとんどが家族経営であり、お昼時に一度にお客様が来られると待ってもらうことになります。諦めて市内のそば店に流れるお客様もたくさんいて、市内の各そば店も行列となりました。 大社のそば店は、観光客相手と地元客相手にうまく分かれていたのですが、こんな状況により、ほとんどのお店が観光客で埋め尽くされています。
そんな中で、唯一、地元に愛されているお店としてひっそりと営業しているお店があります。「観光客お断り」の貼紙がなんとも素敵です。常連に迷惑をかけてはならないという思いを強く感じます。薄利多売のそば店で、「一見さんお断り」はあり得ないことでしょう。私はこの店主の偏屈な心意気がとても気に入っています。

大社そば1
大社そば2

シャクチリソバ

シャクチリソバ
大田三瓶の千蓼庵店主岩谷さんは以前から、石見銀山で自生する「シャクチリソバ」の栽培に熱心で、収穫した実でそば打ちをしておられました。
しかし、生産量が限られ、実入りが僅かなので他の品種のようにはいきません。そこで、シャクチリソバの葉を使い、ペースト状にしてそばを作る方法を考案されました。シャクチリソバはタデ科の多年草でカシミール地方の高原が原産地。血圧降下作用があるルチンを多く含んでいます。また、一般的にソバの葉にはインフルエンザウイルスの感染や増殖を抑える作用があることが発見されていますので、健康のためにソバの葉入りの乾麺を商品化されたのは面白い企画だといえます。
今年が三瓶山の国立公園指定50周年になるのを節目に「三瓶山の特産品化」を目指し、乾麺が完成しました。深い緑色の色合いが印象的なそばに仕上がっています。
 2人前(160グラム、予定価格650円 ~やや割高感がある。)を、地元の飲食店などでつくる「三瓶山そば会議」の加盟店などで販売を始めています。
早速 購入し試食してみました。乾麺にするので小麦粉の割合が多くなるせいか、やや淡白な味わいですが、葉入りであることを感じさせます。千寥庵で以前食した生そばをまた食してみたい気分になりました。

ざるそば(商品を茹でたもの)シャクチリソバ ざる
玄ソバ(シャクチリソバの実)
しゃくちりそば
生そば(シャクチリソバの実を挽いた手打ちそばと三瓶在来の二色そば)
濃い色がシャクチリソバ入りハレの日 003
シャクチリソバの葉と茎をペーストにして混ぜたそばきり(千蓼庵で提供)
千寥庵シャクチリ 001

豊平のそば屋

豊平のそば屋
達磨3

積雪のある中、広島市内で用事を済ませた翌日にそば名人のお店「達磨 雪花山房」に行ってきました。山中を登っていくと風変りな建物に出会います。美術館のような静かな佇まいです。メニューは「ざる」のみです。そば打ちの技術を全国に広めているかたのそばなので期待感が湧いてきます。接客は若い職人さんでした。恐らくお弟子さんでしょう。指示された席に座り、注文を聞くと「何枚ですか?」と尋ねられました。量が少ないから2枚頼むお客がいるのでしょう。一枚平らげてからと思い、「一枚でお願いします。」といって暫し待っていました。予想通り、盛りつけられたそばは凡そ100gぐらいで、薄緑がかった艶のあるそばです。そばをたぐり、噛んでみると風味がひろがります。しかし、期待感が大きかったせいか、香りや甘みが少ない気がしました。また、そばを手繰っていくにつれ、「おや?」ということがありました。そば切りの太さがばらばらだったのです。名人のお店の筈が、何故なのが不思議でした。推測するに、畳んだそばの端っこ部分が多く入ったのか、未熟なお弟子さんの打ったそばなのか?等々考えてしまいました。盛り付けの量がもう少しあれば、全体比率からして細切りのそばが目立たないのですが、今回はひどく目立ちました。大将が茹でている筈ですので、盛り付けの時に解れば取り除くことも出来る筈です。私のような1枚しか頼まないお客さんは軽くあしらわれたのでしょうか。気になったので接客の職人さんに「何故、そばの太さがばらばらなのか?」と問いましたら、「済みません。」と何回も謝られたのですが、理由は聞けませんでした。もちろん、そばの太さが違えば、食感が変わります。名人とおだてられ、神様のような存在なのでお弟子さんも気を使っているのかもしれません。「おもてなしの心」、基本に帰ることが必要ですね。いずれにしても不信感をもち、お店を後にしました。
達磨1
達磨2

気分直しということで、「豊平手打ちそば 小堀」(豊平手打ちそば保存会の会長)に寄りました。自宅をお店に改装し、アットホームな感じでした。達磨の大将とのツーショット写真が目に着きました。そばは達磨よりも綺麗に切ってあります。しかし、豊平産の「とよむすめ」を使用しておられますが、粘りがあるものの、かなり淡白で香りがありませんでした。前日、横川で食べたそばとは風味の点で雲泥の差です。他の品種とブレンドするなどの工夫が必要ではないかと思いました。
こすぎ 001
こすぎ 002

豊平に寄り、あらためて出雲そばの味深さの凄さを再認識しました。

冬はやっぱり鴨そば

鴨の匂いに誘われます。ふなつ かも
寒い季節には、何故か鴨そばが恋しくなります。冬季限定メニューで登場するお店が多いようです。鴨は火を通しすぎると硬くなります。焼いてからだしに入れて鴨の旨みや香りを含ませると、食欲をそそる特有の甘い薫りに魅了されます。女性が好むのも無理はありません。噛むと肉汁がでてくるようなやや厚めにスライスした鴨肉がベストでしょう。もちろん、鴨の油分で焼いたねぎには甘みがあり、鴨肉とは切り離せない関係にあるといえます。(「鴨ねぎそば」という名をつけても良い程です。)料金は高くなりますが、たまにはちょっと贅沢し、心から温まってみてはいかがでしょう。ご夫婦で一緒に食べることをお勧めします。鴨そばの麺は少し太目のほうが、鴨汁のような濃い目のだしとの相性は良いでしょう。
鴨肉たっぷり(しゃぶしゃぶ状で器に)
旬菜 かも
薄くスライスされている鴨肉をだしに入れている(鴨肉自体はサパサパしていて残念。そばはきしめん状の平麺)
山県鴨そば
本鴨(油分がたっぷり)
鴨南蛮風水 001
鴨せいろ(温かいだしに焼かれた鴨肉を入れても良し。そのまま食べても良し。皿の鴨汁をだしに入れると美味)
神代 鴨そば 004
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