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そばの甘み

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今冬は、年明けから雪に悩まされ寒い日が続きました。
人の動きが鈍く、概してそば店も暇だったようです。
しかし、そばにとってはこの寒い季節、節分の頃が最も味深くなり、
そばの艶も出てくる最高の時期です。
そしてなんといっても甘みが増してきました。
「寒晒しそば」といって、川の冷水につけてあくを抜いてから寒風に晒し、そばの甘みを増す食べ方があるのも頷ける話です。もともとはそばの種として保存するために生まれた方法です。出雲地方ではあまり聞きませんが、天然の寒気で保存している玄蕎麦は旨みが増してきました。
土壌に養分が少なく、寒暖の差が大きく厳しい環境下で育つ山間地のソバは、自ら糖分を蓄えるため、甘みが強いのでしょうか。私は辛党で甘いお菓子は苦手ですが、野菜、日本酒やそば等の自然界から育まれた作物の甘みには、堪らない魅力を感じています。
最近のそばは噛んでいくうちに、口の中に清純な甘みが広がってきて、
爽やかな気分に浸らせてくれます。
丸抜きのほうが甘みを強く感じやすいでしょう。
挽きぐるみの出雲そばでもやや浅挽きのそばは雑味が少なくよりダイレクトに甘みが出てきます。
だしは辛めのだしのほうがそば自体の甘みをより強く感じ取れることでしょう。
寒い季節ですが、冷水でしめたそばを手繰り、噛みしめて「そばの甘み」を楽しんでください。



最近特に甘みを強く感じた割子そば(大社の某店)縺九・繧・蜑イ蟄・_convert_20110208172809

2011島根ふるさとフェア in広島

たくさんの人で賑わいました。20110123B_CIMG5345.jpg


1/22、23の2日間 広島県立総合体育館周辺で開催され、約17万人のお客様で賑わいました。私は、出雲部屋台村でそば店の手伝いをしました。島根の文化や特産品を紹介する県外でのイベントの中でも最も大きなイベントでしょう。 手打ちのそば店は、松江八束、隠岐、雲南、益田方面よりたくさんのお店が並びました。中でも「玄丹そば」チームは、松江そば組合の大将が5人も集まり圧巻でした。お店を閉めてまで参加されていたので気合いの入れようが違います。各お店のメニューは屋外ということもあって温かいそばがほとんどでした。出雲そば特有の「釜揚げそば」が一番人気となりました。茹でたそばと釜湯を器にいれるのですが、だしもあらかじめ器にいれてお出ししていました。屋台は効率よく作らないと行列をしてまで食べていただくお客様を待たせることになりがちです。初めての参加でいろいろ反省点がありましたが、出店での営業にはコツがあることが解りました。準備と片付けが大変ですが、たくさんのお客様に味わっていただき、喜んでもらえれば、店舗での営業とは違う充実感、達成感が味わえます。
 そば好きなかたは、そばの食べ歩きをしておられたかも知れませんが、他にもおいしそうな匂いのする特産品を作っているお店がひしめき合っていたので、そばだけでお腹を一杯にする人は稀だったことでしょう。
 島根の味を堪能していただき、広島の人が、島根を訪れたい気持ちになっていただけたなら汗を掻いた甲斐があります。本場島根に来て、出雲の風土とともに出雲そばを味わってください。


「玄丹そば」松江
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「隠岐そば」2011島根ふるさとまつり 003
「高津川源流そば」2011島根ふるさとまつり 007
「日原わさびそば」2011島根ふるさとまつり 009
「出雲釜揚げそば」20110123A_CIMG5340.jpg

今シーズンのそば

今季のそばの出来は?蟷ウ蜥梧怦隕九◎縺ー+003_convert_20110105160427

昨秋のソバは、天候不順やイノシシによる被害が影響し収量が少なかったようです。県内の松江・出雲地方も減収で、特に三瓶方面は全滅のところもありました。唯一、奥出雲地方は豊作の地区がありました。そのため玄蕎麦の単価が上がっています。
地元産の玄蕎麦の確保が困難となり、自家栽培、自家製粉による手打ちそばを売りにしていたお店の中には他の産地のソバを購入し営業をしなければいけなくなった処もあります。しかし、時には違う産地のソバを試してみると学ぶことが多いことに気付きます。私は全国各地から様々なそば粉を入手して試してみて解ったことですが、産地の違いよりも、ソバの品種と製粉の仕方が大きくそばの風味、食感を左右すると理解しています。
そばの産地よりも、製粉方法、そばうち技術によりお店のそばの味が決まります。長年培ってきたお店の「そば」となるよう努力が必要です。また、違う産地のソバをブレンドして、納得のいくそばに仕上げることもあります。
玄蕎麦の管理、製粉技術の向上により、より滋味な「出雲そば」に発展していくことを望んでいます。
今シーズンは奮い立つぐらい香りのあるそばに出会っていません。全般に、やや香りが弱い気がしています。天候不順が影響しているのかも知れません。
しかし、寒くなってきた今頃は味がのってきて艶も出ています。そばを食べるには今が旬です。みなさんも年越しそばで終わることなく、新年を迎えおせちに飽きたら、幾度も豪快に出雲そばを食べましょう。

古民家でのそばうち教室

年越しそばは自分で手打ちをしましょう。蜿、豌大ョカ+001_convert_20101224104126
「出雲そばりえの会」が出雲市内の「田舎ツーリズムの宿 古志古民家塾」にて
そば打ち教室を開催しました。
そば好きな人でも、なかなか自分で打ってみるということは意外と億劫なものです。
今回は松江市内の自家製粉されているお店から特上のそば粉をもらいそば打ちをしました。
そばりえの仲間のマンツーマンでの指導もあって、見事なそばに仕上がりました。
試食では、古民家にガスがないためかまどで薪を炊いてそばを茹でました。これがホントの釜揚げそばです。
おそば屋でもおなじそば粉でそば打ちしているのですが、食べくらべると全く異なるそばとなりました。水とそば粉だけのシンプルな素材なのに。そばの奥深さを味わっていただきました。
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初心者にしてはとても上手いそばきりです。蜿、豌大ョカ+004_convert_20101224104242
この独身男性、そば打ちで男をあげて彼女を作るということらしいです。蜿、豌大ョカ+003_convert_20101224104215

きのこそば

初冬の楽しみ きのこそば
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新そばの季節が到来し寒さが増すにつれ、そばの味、香りも深まってきたように感じます。
季節の味として、新そばときのこの限定メニューに出会いました。
しめじを焼き、春菊を散らしたかけそばです。
焼いたしめじにだしが浸みて美味さが引き立ちます。
きのこ類は焼くと水分が抜けて、驚くほど味が深くなります。
焼きしめじの味わいを楽しみながら、春菊がさわやかさを醸し出します。春菊の香りにそばが負けると思っていましたが、決して邪魔していません。秋の深まりを感じさせる品です。
このお店は丸抜きと碾きぐるみの二種類そばを打っておられます。かけそばには丸抜きを使いだしとの相性を優先させています。
かけそばを食べたあと、冷たいそばも追加注文しました。
碾きぐるみの出雲そばと丸抜きの割子そば。
なんと、丸抜きの割子そばはかけそばの太さと違い、細打ちでした。冷たいそばは食感も楽しんでもらおうという嗜好です。たしかにかけそばに細打ちのそばを入れると、そばの味が薄くなるし、切れやすくなることでしょう。
このこだわりが心憎く、またこのお店を訪れたくなる気にさせてくれます。


   碾きぐるみのそば  と  丸抜きのそばふなつ2010.11.17 006

もちろんそば前を楽しみました。ふなつ2010.11.17 002

2010出雲そばまつりを終えて

10/30(土)、31(日)の2日間 出雲そばまつりが出雲市役所だんだん広場にて開催されました。
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今年は出雲文化伝承館から会場が変更となりました。そば店の出店数は20店舗。
県外13店舗 県内7店舗(出雲市内2店舗)

たくさんのお客さんで賑わったのですが、日曜日には雨が降った影響もあり、
少し盛り上がりに欠けたように感じました。
その理由は、
1.会場が広く、芝の広場であり、市役所の裏側で、そばまつりという風情、一体感に欠けた。
2.そば店と土産物店の出店だけて、他の催しものがほとんど無かった。
3.観光バスのお客様は、別のブースでそばをたらふく食べ、他のそば店に行けなかったため、
  県内のそば店(特に市内)のお客が少なく、「出雲そば」をアピールするには物足りない企画であった。
4.会場が市内中心部であり、自家用車での来場者が多く、国道9号が渋滞し、不満が寄せられた。
5.今年の新そばはどこの地方も味、香りが浅く、満足するそばが少なかった。
来年度また開催されるなら、原点に返り、そばの振興と観光をあわせ持つ企画にする必要があると感じました。

出雲そばりえの会としては、そばりえクイズとして、そばのメニュー写真から、どこのお店のそばであるか
をあててもらいました。出雲そば商組合と三瓶のそば店から抽出しました。
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北海道からこられたお店のそばを紹介します。
にしん蕎麦
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ざる蕎麦
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最後に出雲地元産新そば
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粋に呑まNight!大盛況でした

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日本酒×そば×ジャズ で楽しむ “ 粋に呑まNight! ” というイベントを企画しないかと出雲そばりえの会に話が持ちかけられ、実行委員会を作り8月から準備を進めていました。
そして、松江水燈路の最後を飾る10/17(日) カラコロ工房にて開催され、予想をはるかに超えた人出で賑わいました。
PM4:00~9:00までで約1000人の来場があったようです。
出雲そばりえの会が提供したのは約600食でしたから、食べられなかったお客様がいた筈です。
開店からいきなり行列で追われてしまいました。
当日は朝からスティックビルの調理室で 40玉を8人程度で打ちまくりました。
12時からたまたまどう行列のために全面通行止めとなるため、あわてて出来たそばを積み込みカラコロ工房へと向かいました。しかし、タッチの差で、通行止めとなり、仕方なく大回りして、武道館の横に駐車し、歩いて道具等を持ち運ぶはめになりました。
いろいろ段取りでトラブルがありました。準備不足も否めません。
鬼おろしそばとそば味噌のセットと追加メニューの釜揚げの両方同時に作ることは困難でした。
行列で待ち時間が長くなってしまいましたのでセットメニューだけにし、売切れたら釜揚げのみのメニューとしました。
しかし、出雲全国そばまつりでも凄く行列しているではありませんか。
ましてや 私たちは素人集団ですから大目に見てほしいものです。
なんとか無事に終わることができました。感謝、感謝です。
お客様の声として、そばやそば味噌は美味かったといっていただけたのが救いです。
疲れが未だに残っていますが、来年にむけての案、意欲が湧いてきました。「出雲そばりえの会」として今後も恥じない企画作りを目指します。

会場の様子

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出雲そばりえコーナーの行列
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鬼おろしそば+そば味噌セット
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粋に呑まNight

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出雲そばりえの会が松江の3蔵元と共同でイベントを行います。
そばと日本酒の相性の良さを味わってください。
前売り券:3蔵の日本酒1杯づつと出雲そば(割子そばとそば味噌のセット)で1000円
当日券もあります。
釜揚げそばも準備します。(当日券で食べることができます。1杯300円)
松江水燈路まつりの最終日を飾るイベントです。
是非、来場ください。

大根とそば

お盆を過ぎたというのに酷暑が続いています。
夏バテで内臓の働きが弱っているかたがいらっしゃると思います。
「おろしそば」はそんなかたにうってつけです。ビタミンCたっぷりの大根は、消化の働きを助け、栄養的にもそばと合わせればバランス良い食べ物として高評価されています。
食欲のないときには、さらっと食べやすいおろしそばで暑さをのり切りましょう。


大根とそばの変わり種


「鬼おろしそば」
鬼おろしという竹製の器具でおろした大根おろしをのせたそば。鬼おろしは余分な水気が出ず、粗く仕上がるためシャキシャキ感が楽しめる。
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「大根そば」
大根をせん切りにし、そばに添えたもの。混ぜて食べると食感が心地よく、大根の辛み、甘みとそばとの相性が良い。
岩手では「ひきなそば」 栃木上州では「大根そば」と呼ばれ伝統がある。出雲のお店で新メニューとして登場した。
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松本蕎麦店

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今年の4月に「伝説のそばや」と呼ばれていた「松本蕎麦店」が松江スティックビル1階にオープンしました。
NHK連続テレビ小説「だんだん」の舞台セットを復元して松江市が整備したそば店です。10年前まで寺町にあった老舗「松本蕎麦店」で修業したそば店経営者が、のれんを引き継ぎ、営業されています。開店当時は大変混み合っていましたが、現在は落ち着いているようです。
 昔のお店の常連客は、お店の名前の復活を喜んでおられるようです。
しかし、このお店は、テレビ小説の舞台セットで作られているもので、決して老舗「松本蕎麦店」の様子を再現したものではありません。あくまでドラマの中の松本蕎麦店なのです。実際にそばを食べてみましたが、あの老舗の味をもう一度味わいたいと思って来店されたお客さんはがっかりされたことでしょう。老舗の味の復元というわけでもありません。
 NHKドラマのブームは一過性であり、ブームが過ぎると観光目的のこの企画自体も古臭くなってしまいます。今後はお店の独自性を強めることが必要です。名前におんぶしないで、地元の客、また観光客も「此処のそばがまた食べたい。」という思いが募るそばを提供していくことが大切ではないでしょうか。

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老舗の改築

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大社の島根県立古代出雲歴史博物館前の老舗そば店が、昨年末に家屋老朽化のため取り壊し新築となり、5月初旬から営業を再開されています。
以前と店内の配置はあまり変わりませんが、席数が減りました。また、窓が大きく白い壁を基調として明るい店内となりました。
私は15年以上前からなじみの客として通っています。
平成19年3月に出雲歴史博物館が開館してから、週末はたくさんの観光客で混み合うようになりました。このお店は混雑するゴールデンウイークや、正月にはメニューを限定し、多くのお客様に待たせないで美味しいそばをたべてもらえる工夫をされています。
観光客で混雑すると馴染みのお客さんは遠のいてしまいがちとなります。
私は平日の空いているときに食べに行っています。
お客さんの回転を速くしようとするとそばの品質にも影響がでることが多々ある筈です。お店の立地条件が良すぎるのは良し悪しです。
しかし、たくさんの県外からのお客さんに出雲そばを食べて満足してもらえるお店も必要です。観光客の方に「出雲そば、美味しかった。」と言ってもらえれば、出雲の観光振興につながります。常連客に好まれると同時にいちげんさんの観光客にも喜んでもらえるお店とすることはかなり難しいと考えます。
行列して待ちくたびれてから食べるそばは旨いでしょうか?出雲そばは六感で楽しむことを常とすれば、讃岐うどんやラーメン店の行列は許せても、出雲そば店には似合いません。
大社に存在するたくさんのそば店が高水準で肩を並べ、どのお店に行っても遜色ないサービスと出雲そばの味を常に提供できれば、お客様が集中して迷惑がかかることのないそば街道となることでしょう。

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新メニュー 「大根そば」
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出雲そばの品種検討会

新しい出雲そばの品種が生まれます
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県内ソバの生産を増やすことと、「出雲そば」のオリジナル品種を育成し、ブランド化を図ることを目的として、島根県が研究開発を進めています。
 今回、有望品種の検討会及び試食会が開催され、私も参加しました。
 出系3(牡丹そば×横田)という品種と出系4(横田4倍体)の2種類の品種が披露されました。

 出系3:北海道でかつて主流だった「牡丹」と横田在来種(小そば)を交配して改良したもの。小粒。

 出系4:横田在来をコルヒチン処理して染色体を倍加。4倍体の特徴として、茎が大きく強く、脱粒しにくい。大粒。

 昨年は天候不順で、試験栽培したソバは収量が僅かでした。安定した収穫量を望んでいる農家にとって、ソバの栽培はリスクが大きいものだといえます。
出系4については、粒が大きいのですが、殻の中に空洞があり、製粉したときの歩留まりが悪いとの結果がでました。
 味のほうは、標準とされている信濃と比べても、遜色ない香り、味の深み、甘みがあり、収量が安定する見込みのある、「出系3」の品種登録を進める方向だという説明を受けました。
私の率直な感想は、信濃が最も風味があり余韻が残る気がしました。今回は碾きぐるみではなく、殻をとってから碾いたものであったため、碾きぐるみとしたときには味や香りがどうのように変化するのか楽しみとなりました。

   左から信濃1号      出系3        出系4
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殻を除いてから碾いたそば粉
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そばの試食

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tag : そば

六感で食す


六感とは?
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有名店で生そばを購入し、我が家で茹でて食べる。
しかし、お店で食べたそばと明らかに異なるそばになります。
何故、お店で食べたそばのほうが美味いのでしょうか。
それは、茹で方や、そばを打ってからの時間の経過に原因があるのはもちろんことですが、
お店で食べたそばとの違いで解決できない理由があります。
それは、「六感で食す。」ことからくる違いだと考えます。
「六感」とは、人間の五感「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」に、心の安らぎを加えた、心地よさに例えられています。自然との調和、日常のわずらわしさから解放される「風土」を感じさせる空間、場所が重要だと考えます。
また、老舗のたたずまいは気持ちをリフレッシュさせてくれます。五感で味わう他にこの要素があると、印象に残りまた訪れたいという気にさせてくれるものです。新しいお店でも、いかにお客様を和ませるお店にするかに配慮すれば、「六感」が働きます。接客の仕方も重要な要素でしょう。
幸い、出雲地方のそば店は、六感で食すことができるお店がたくさん在ります。こころの安らぎを求め、田舎のそば店へ向かい、そばを食べる。出雲そばはそんな気持ちにさせてくれます。それは贅沢な志向であるのかも知れません。

【近年開店した趣のあるそば屋】
三瓶山近くのそば屋
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宍道湖西岸から斐川平野が一望できるそば屋

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切れるそばほど旨いそば

そば打ち初心者のかたを激励します
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私が、そば打ちの講師をするときにお話することがあります。
「切れるそばほど旨いそば」
これは、ぼそぼそして粘りがなく、粗いそば粉で捏ねたそばは、切れやすく茹でたらバラバラになったりしますが、味や香りは強く、うまみのあるそばに仕上がるという意味です。粗く、乾燥しすぎたそば粉はつながりにくいため、そば打ちでは大変苦労します。含水率も50%以上必要とし、ていねいな水回しが必要となります。
田舎のおばあさんが作るそばで、やや太めで短いそばですが、噛んで食べると香りが立って味わい深いそばとなり、そばの醍醐味を満喫することができることがあります。
粗いそば粉は、そば打ちでは特に気を使います。粗いということは、ソバの実が破砕される部分が少なく、玄ソバの本質をより味わえるということになります。
また、短いそばはよく噛んで食べることになるため、必然とそばの風味をより味わうことができます。
噛んで穀物としてのソバを感じることができるのです。切れたそばはかき込むように食べると、口の中一杯にそばの香り、味が広がってきます。
粋な食べ方は出来ませんが、田舎そばとして食すなら、こんなそばも御一興でしょう。
そば打ちの基本は、いかに均一な長いそばに仕上げるかがそば打ちの技術目標ですから、
短く切れたそばは手打ちそばの恥だと言われています。
そばうち初心者の打ったそばは、良質の細かなそば粉でも短くバラバラとなりがちです。
しかし、決して悲観する必要はありません。
「切れるそばほど旨いそば」と説明(弁解?)し、皆さんに堂々と味わってもらいましょう。



そば切りの太さ

出雲そばの最適な太さは?
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江戸時代の後期に、江戸のそば職人によってそばの切り巾について基準が設けられ、「切りべら23本」といって、一寸(約3.03cm)を23本(約1.3mm)に切ることが標準とされました。「切りべら」というのは「切平」と書くように延した厚さ(通常1.5mm)よりも切り巾を薄くするものです。包丁で切った面の面積が多いほど茹でたときにしっかりしたそばに仕上がるからでしょう。それに対して「のしべら(延平)」というのは延し厚より切り巾のほうが広いそばを指し、出雲そばを代表とする田舎そばにはこの形が多く見受けられます。

 出雲地方のそば店では各店で異なった太さであり、そばの断面形状はそれぞれ特徴がありますが、切りべら23本という細さでそばを打つお店は少ないようです。その理由はいくつかあります。

・ 昔からやや太めのそばを噛んで食べる習慣があった。

・ 割子そばのようにだしを直接かけて食べるので、ざるのようにそばをたぐって啜る必要がなく、太くても食べつらいことはない。

・ 釜揚げそばはそばが切れやすいため、太めのそばでかき込むように食べるほうが香りや旨みをより楽しめる。

・ そばの製粉がひきぐるみのため、粗い粉(昔は製粉がやや雑であった)であり薄く延ばしにくい。また、そば打ちの技術が江戸と違い高レベルではなかった。

江戸のそば打ち技術や製粉技術と比べると、出雲地方は技術的には劣っていたのかも知れません。しかし、ひきぐるみの出雲そばは上手い(うまい)そばではなく、美味い(うまい)そばを目指してきたのではと考えます。
少々食感が悪くても、噛んだときの香りや味深さが秀でているそばが出雲そばとして評価されてきたのです。
 よく、「喉こしが良いそば」という言い方で江戸前そばが語られますが、本来、そばは噛んで食べるものですからビール等とは異なるため、この表現はいかがなものかと思います。おそらく、つるっと食べやすく、食感の良いそばの事を指しているのでしょう。
老舗の出雲そば店でも、近年のブームなのかこの食べやすいそばに変化し、細打ちするお店が増えてきました。時代のニーズに合わせそば屋も変化していかなければならないのですが、少々寂しい気がしています。
特に細打ちした「釜揚げそば」は出雲そばの醍醐味が薄れてしまっている気がします。
そば粉の粒度にもよりますが、2.5mm~3.0mm前後の太さが昔からの出雲そばではなかったかと判断しています。そば切りの断面は正方形が理想かもしれませんが、のしべら形状の出雲そばは田舎出雲の風土を感じさせる何ともいえない懐かしい味わいがあります。

切り巾 約3.0mm 厚さ 約1.5mm
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切り巾 約 3.0mm 厚さ 約2.5mm

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