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川登の市

鮎だしそばが人気でした
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12月14日 江津市松平地区において「川登の市」が行われ、そばうちの応援に出かけました。この地区は江の川と国道261号に沿った小さな集落です。「川登の市」は、昭和30年代まで開かれていた市で、「懐かしい市をもう一度よみがえらせよう」と、2005年から地域の人たちで復活させたものです。
 市の人気の手打ちそばは、地元で捕れた鮎をだしに用います。乾し鮎のだしがそばに合うのか興味津々でした。食べてみると、そばの風味を邪魔することなく、鮎の旨みも味わえる良質のだしでした。そば粉は地元で栽培し、天日乾し乾燥させたもので、風味があり、えぐみの少ないそばに仕上がりました。代表者の指示により、つなぎなしの生粉打ちです。打ちたてを食べて頂くため、ピークでは行列もできました。手伝いのつもりでしたが、「出雲そばりえ来る」という看板を貼られ、どうしたことか私のそばは別メニューとされたため、手を抜くことも許されない状況で必死にそば打ちに励みました。
 全国各地でそばはブームです。その地方ごとに特徴があり、地元で作った素材を活かし、名物のそばをつくることは最も大切なことではないかと思います。この松平地区の鮎だしそばはここでしか味わえない名物そばに育っていくものと確信しています。まだ、解決しないといけない課題が多々ありますが、この基本理念をもとに試行を繰り返せば、さらに旨いそばに仕上がっていくことでしょう。
 松平地区の人たちの熱意と温かさが伝わってくるとても良い市でした。
心温まる「懐かしい田舎」を感じ取ることが出来ました。また来年も参加してみたい気持ちになりました。

「川登の市」の様子

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新そば情報

新そばの季節です
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各地で収穫された新そばがお店で提供されています。
全国的にみると、国内で一番の収穫量を誇る北海道が不作だとのことです。
ソバの作付面積全国一の幌加内地区は3割~4割減、東北会津地方も芳しくないようです。
今年は天候も良く、台風の上陸もなかったので、米同様に大豊作と
思われていました。
8月の平均気温が平年より2度低く、過去20年間で最低だったため、
受粉に不可欠の虫の活動が弱まったことが原因とのこと。
信州ではこのようなことはなく、収穫は順調に進んでおり、収量も平年以上になる見込みです。
山陰地方はどうかといえば、出雲地方は西部で減収だったものの、全体としては栽培面積が増えたため去年を上回る収量が見込めるとのことです。
松江玄丹そばは豊作、奥出雲地方は瓢(ヒョウ)の被害にあった地区以外はまずまずです。
三瓶地区は、収量がかなり減っています。去年の三割しかとれないと残念がっている地区があります。ヨトウ虫等の害虫被害の影響が考えられます。
そばの栽培は自然の影響を強く受け、毎年安定した収量を確保することは難しいものです。
そのため、味の良い、収量が見込めるそばの品種を研究開発している機関があり、産官学一体となった取り組みにより、出雲そばを発展させていく努力がなされています。

写真は先日、奥出雲よこたあじわいロードの期間中に限定メニューとして用意された、皿そばです。そばの芽、そばの実を盛った奥出雲産そばの旨みを引き出した品です。
横田小そば(在来種)と信濃そばをブレンドした、とても風味豊かな新そばでした。


2008出雲全国そばまつりの様子

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今年もたくさんの人で賑わいました。
10/31、11/1、11/2の3日間 恒例の出雲全国そばまつりが開催されました。
やや、マンネリ化している感があるにも関わらず、たくさんの人で賑わいました。
他県からこられたお店には長蛇の列。40~60分待ちの時間帯もありました。
そばまつりの様子を紹介します。

JR駅アトネス出雲会場
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出雲文化伝承館会場
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各店そばうちの様子
瓦そば
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鴨南そば(江戸流手打ち)
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越前おろしそば  
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氏家暉男氏の公演&出雲そばリレートーク 
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高嶺ルビー(赤ソバ)の花
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赤い花を咲かせる高嶺ルビーは氏家先生がネパールから持ち帰った種を10年かけて品種改良したものです。
吉賀町でも栽培されています。

オマケ   そばがきもどき (これ食べ物?)

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2008神在月出雲全国そばまつり

今年もまた、開催されます。
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今年で7回目となりました。
10月31日(金)~11月2日(日)に出雲文化伝承館を主会場として開催されます。

そばまつりを楽しむコツ

  1.地元そばと県外のそばの食べ比べをするべし。

  2.そばを食べ比べするにはまずは丸抜き又は白っぽいそばから。

  3.今年は2会場 JR出雲市駅 アトネスいずも縁引き寄会場も訪れるべし。

  4.特産品コーナー そばまつり限定商品 そば饅頭等をチェックすべし。

出雲そばは味が濃いため、最初出雲そばを食べてから
江戸前の白いそばを食べると物足りない気がします。
地元そば店では出雲産の新そば粉を用いたそばが提供されます。
私は試してみましたが、香りはやや少ないものの、雑味が少なく、
上品な甘みを感じ取れるそば粉に仕上がっています。
食べたときの食感も出雲そば特有のぼそぼそ感が少なく、弾力のあるそばが楽しめるはずです。
 今年は初めて北海道からやってこられたお店があります。
北海道産は日本の生産量の約4割を占めています。
寒い地方から新そばが収穫できますから、北海道産のそば粉は期待が持てます。
信州そば、ふのりをまぜた越後へぎそば、瓦そば等、新顔のお店も参加されます。

3日間大いに楽しんでください。


ソバの収穫

ソバが稔りました
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山間部の畑では可憐で清楚な白いソバの花 が咲いています。待ち遠しい新そばの季節への期待感が膨らんできます。8月の上旬から種まきがはじまり、9月にはいると白い可憐な花が咲き始めます。現在は、ソバの実が黒ずみ膨らんでいます。いよいよ収穫の時期となりました。出雲平野で栽培されたソバはもう収穫されているところもあります。
ソバはふつう三日で発芽し、二十日足らずでつぼみがつき、花が咲きます。意外と花は長持ちします。そして、七五日で収穫できます。松江地方では「玄丹そば」といって平成9年から減反した田を利用してソバの栽培行われています。このそばは、幕末に松江藩の危機を救ったといわれる玄丹(げんたん)お加世という女傑にあやかって「玄丹そば」の名前がついています。水田でつくるそばは、減反政策による転換畑の特定作物として指定され、補助金が交付されるようになってからの現象です。
水田土壌は多湿であり肥料も十分に蓄えておりソバの茎や葉の生長には適していますが、体だけ大きくなり稔りが悪くなります。また、生産者は早播きの傾向があり、成長を助長する結果になってしまう場合が多く見受けられます。ソバを播く時期を決めるのは天候の予想をしながらとなりとても難しいものです。
山間部は気温が低く寒暖の差がありじっくりと成長するため、稔り良く、良質なそばが採れます。土壌もそばの生育に適しているといえます。そんなハンデがありながら「玄丹そば」は関係者、生産者の努力により山間部に負けないソバとなりました。一年前の玄そばでもしっかりと管理貯蔵されている「玄丹そば」は、香りは少なくなったものの、味深さは変わらず維持されています。
ソバの収穫状況

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ソバの実
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そば切りの長さ

適正な長さは?
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「うどん一尺 そば八寸」という諺があります。一尺は30cm 一寸は3.03cmですから、うどんの長さ=30cm、そばの長さ=24cmが適切な長さということになります。うどんは切れることがありませんが、そばはデリケートで茹でているときに切れたり、水切り、盛り付けで切れたりします。
今の季節はそば職人にとって最もつらい時期です。そば粉の品質が落ちていて、粘りがなく切れやすい状態です。
かといってつなぎの量を多くしたり、普段より太めに打ったりするのは、職人気質に反することだと頑なな信念をお持ちの職人もいらっしゃいます。
ましてや、生粉打ちといって十割そばを看板にしているお店はそば粉の状態が悪いと苦労が耐えません。玄そばおよび製粉したそば粉をきちんと冷蔵管理されているお店はいまの時期でも状態の良いそばに仕上がっています。
そばの長さは「延し」から「たたみ」の工程で決まります。そば切りの時には神経を使い、延したそばが割れたり切れたりしないよう苦心します。
出雲そばの延しかたは大きな円になるように延しますから、たたむ方向はあまり気になりませんが、江戸前そばは一方向に延ばしますから、いわば「目」が出来るわけでその方向でたたむとたたんだところが切れやすくなります。   

食べるときにそばの端をつまんで一本づつ食べるようなまねはしませんので、おおよそ真ん中を箸でつかむとすれば、10~15cmぐらいの長さを口に運ぶことになります。

ざるそばではそば猪口にだしをつけるためあまり長いと、そばが跳ねてだしが飛び散散ったりして、粋な食べ方にはなりません。(余談ですが、うどんは一本がとても長く、猪口のつゆをつけるのに苦労した経験をお持ちのかたがいらっしゃると思います。)
やはり適当な長さが良いという訳です。
割子そばは器をもってかき込むように口へ運びますから、ざるそばで食べるより短くても構わないと思います。お年寄りのかたはそのほうが食べやすいことでしょう。
但し、そばが短すぎるのは、技術レベルが低いと思われるので、なんとしてでも切れないそばを提供したいとそば職人は常に気を使っています。
粋な食べ方が出来る範囲は、おおよそ20cm程度ではないでしょうか。
そばは五感で食べるといわれます。そばをたぐって口の中に啜る音、この食欲をそそる聴覚的な楽しみを満足させる適切な長さは、そば切りにとって重要なポイントの一つだといえます。

ひょうによる被害

山陰地方山間部を襲いました
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8月29日日の出前の午前5時ごろから30分間、島根県奥出雲町鳥上~横田地区、鳥取県日南町阿毘縁~山上地区一帯にひょうが降りました。ひょうは直径約3cmで最大約5cm。このひょうにより、収穫前の農作物(コシヒカリ、大豆、リンゴ、そしてソバ等)に大被害が出ました。被害にあったソバの栽培面積は4.6 ha(奥出雲)+13.2 ha(日南)に及んでいます。
奥出雲町大呂にあるそば店の店主はソバの自家栽培をしておられます。作付けされた約9反のソバ畑が全滅だったようです。その惨状を聞く事ができました。
「まだ薄暗い時に物凄い音がした。おさまってから懐中電灯をもち外に出ました。畑にいくとコンバインで刈ったよりもきれいにソバの茎がきれていました。種まきしてからまだ一ヶ月程度なので幼いソバでした。風と共に根元の方へひょうが当たったんじゃないかと思います。だんだん明るくなってくるうちに全貌が見えてきて、思わず涙ぐみました。」
手塩にかけて育てた作物が一瞬にして全滅してしまったショックは計り知れないものがあります。今年はこの地区以外からソバを分けてもらい営業するしかないと肩を落としておられました。
 自然の恩恵により美味しいそばを与えてもらえるのですが、自然は時々こんな悪さもします。台風で収穫直前のそばの実が吹っ飛んだ年もありました。天候の具合から、良質なソバになったり、駄ソバとなったりと毎年出来が異なります。
 種まきの期日を決めるのも天候状況の判断が必要となります。種まき後、すぐに大雨が降ると流されてしまいます。また、外敵イノシシに荒らされた所もあります。
自然との共生の難しさを改めて感じる出来事でした。何気なしにそばを食べるのではなく、生産者のこんな苦労も認識しつつ、美味しいそばをいただけることに感謝、感謝です。


冷かけそば

冷かけそばとは?
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暑いときはいくら冷房の効いたお店でも、熱いかけそばや種物そばを食すことはためらいがちになります。特に汗かきの人は苦手でしょう。この季節、お店では、ざるそばや割子そばなどの冷たいそば系の注文が多くなります。
しかし、汗をかく時には体が水分を欲するからか、だしもたっぷり味わいたいと思うことがあります。出雲そば店ではあまりみかけませんが、不足しがちな水分、塩分を両方とも補える冷たいだしのたっぷり入った「冷かけそば」はお勧めです。
「冷かけそば」は、韓国冷麺や仙台の冷やしラーメンの「そば版」と言えるでしょう。
冷かけのつゆは、ざるそばのつゆより薄めで、蕎麦の味を邪魔しないぐらいが良いでしょう。飲める冷たいだし汁という感じです。薬味はなんでも合います。おろし、天ぷら、ねぎ、海苔、とろろ、変わったところでは梅、すだち、夏野菜等も意外と合います。しかし、薬味にあまり懲りすぎるとそばの風味が味わえません。
近年、「ぶっ掛け」といって丼に冷やしたそばを盛ってその上に薬味をのせ、食べるときにだしをかけるスタイルも人気です。「ぶっ掛け」のだしは「冷かけ」のだしより濃く、ざる用のだしの濃度程度が一般的です。「ぶっ掛けそば」は江戸時代のそば屋が荷運び人夫あいてに、立ったまま食べられるように丼に盛った冷たいそばにぶっかけたというのが始まりとされています。現在の立ち喰いそばの原点でしょうか。
実はそばの上に薬味をのせ、つゆをかけてたべる割子そばは「冷かけそば」「ぶっ掛けそば」の代表のひとつであるといえます。
「冷かけそば」といっても広義にはいろいろ含まれるものです。夏バテ防止に栄養のバランスの良い「冷かけそば」を食べて、残暑を乗り切りましょう。

冷かけそば
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冷かけそば  (薬味 おろし+わさびの茎)
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この薬味は、単独でたべると激痛が走るくらい刺激があるが、かけそばとの相性抜群。そばの甘みを引き出す。

辛みだいこんは、ぶっ掛けとしたほうが食べやすく、そばきり、だし、おろしお互いの旨みがみごとに調和する。

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三瓶の新しいそば屋

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三瓶の小屋原温泉近くに新しいそば屋が開店しました。
このそば屋の店主は 、三瓶でそば栽培を10年間続けておられます。
もちろん、自分のそば屋をもつことを目標に努力を続け、脱サラし、ついに達成されたのです。
大変なこだわり、真面目さを感じるかたでそばの話はつきません。
お店はとてもへんぴなところです。正直いって、商売には不向きな場所で
どこまでお客さんを引き寄せられるか心配しています。
お店の場所を選ぶにも一つのこだわりがありました。
それは「水」です。
三瓶から湧き出る良質な水が此処にはあります。
そばきりは、捏ねて湯掻くと、お客様が食べる状態では約半分が水分となります。いくら良質のそば粉を用いても
水が悪いと旨いそばにはならないのです。
そば栽培の農地も近くにあり、自家栽培、自家製粉が可能で三瓶の自然を満喫できる環境にあります。
もちろん、そばは、三瓶の小粒の在来種です。

当面は予約コースのみだそうです。

コース内容 (一人前1900円)
・お刺身などの魚介類
・お豆腐 味噌わさび添え
・野菜・山菜の天ぷら
・温かなかけそば
・冷たいおろしそば
・デザート

盛りそばが追加できます。
三瓶の豊かな自然の味わいを、季節の山菜等と共に楽しませてもらえます。
お酒とともにいただくのが良いかと思いますが、
車でしかいけないところが残念です。
(飲めない蕎麦好きの友人と一緒にいくのがベストです。)

片田舎のそば屋ですが、素朴な情景、素朴な味を提供してもらえると同時に店主のそばへの熱い想い、こだわりを感じました。ご盛業を願っています。

店内の様子
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前菜 バイ貝の造り お豆腐の味噌わさび添え
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前菜の天ぷら 温かいかけそば
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冷たいおろしそば
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田舎ツーリズム

田舎ツーリズムと出雲そば
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「しまね田舎ツーリズム」という言葉をご存知でしょうか?

都市と農山漁村地域の共生・交流を単なる観光としてではなく、豊かな自然の中で田舎の暮らしを体験してもらい、そうした体験を通じて地元の方々との交流を深めてもらう活動です。しまね田舎ツーリズム推進協議会と出雲・宍道湖ツーリズムの会の主催で研修会が斐川町の民家で行われ、私も参加してきました。

 研修会には県内各地から約50人が参加し、藤岡大拙代表の講演、アスパラガスの収穫体験や野鳥の観察、大山ブランド「トトリコ豚」のバーベキューや出雲そばなどで楽しみました。会場は実は宍道湖西岸の隠れたそば屋でした。近年、土建業から転身して開業されたため、ご主人のそば打ち経験はまだ浅いです。しかし、斐川平野が一望できるすばらしい環境、ご夫婦の純朴な人柄と「素朴な出雲そば」でもてなしていただけます。野鳥も席から眺めることが出来ます。出雲そばとこの地方の地域資源の魅力を全国発信し、都市部の人々とより交流が深まることを切に願っています。

藤岡大拙さんの講演(斐川の魅力)
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アスパラガスの摘み取り体験
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宍道湖の野鳥観察
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交流会 アスパラガス、斐川平野の大麦と大山山麓のどんぐりで育ったトトリコ豚のバーベキュー
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メインの出雲そばとお酒(このあたりになると酔っていたので写真がイマイチでした。スミマセン
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だしいれ

鶴首の美しさ
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  出雲地方のそば屋では昔から鶴首のだしいれが用いられていました。今は製造していないようで、あまり見かけません。ほとんどのお店が左下のようなつゆ徳利の形状のだしいれを使っています。鶴首のだしいれは貴重な品となり、お店に飾ってあることが多くなりました。ほとんどが有田焼きの磁器で、注ぎ口が鶴の首みたいなことから名づけられています。割子そばに鶴首のだしいれでだしをかけると、うまく好みの量に注ぐことができます。
形はじっくり眺めると大変美しく、美術品としての価値があるものもあります。先がこげ易いのですが、出前にも用いられていました。どんなだし入れがあるのか、お店でそばを食べるときの楽しみの一つです。
いつまでも、大切に保存したいものです。

一般的なつゆ徳利
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鶴首のだしいれ各種
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田舎の食堂

田舎そばの魅力
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割子セット(割子そば三枚、おかず5品、漬物、ご飯)

先日、旧吉田村(吉田町と呼ぶのは未だになじまない気がします)のある食堂に行きました。
手打ちそばでも有名なお店です。おばちゃん一人で切り盛りしておられます。
早速、割子そばを注文しましたが、おばちゃんが予約分と思われる定食用の手料理を盛り付けている品を見て心を惹かれました。これを食べないと後悔すると思い「そばセット」に変更してもらいました。
待っている間に、メニューをあらためて見ると、割子そば600円 割子そばセット800円となっています。+200円だからそんなにおかずは付かないのかなと思いきや、料理を運んでこられたのを見てビックリ。数々の品のおかずと、大盛のごはん。自分で作った野菜、山で採れた野草、蕗などを上手に煮たり炒めたりして、田舎の味、おばちゃんの味を見事に醸し出していました。
ごはんも地元の米です。そばにご飯まで大盛。多いかなと思っていましたが米の味の良さもありすっと胃袋に入りました。お代わりしませんかとまで言ってくださいました。後から出された自家製の漬物でお代わり出来そうな気にもなりました。
私は普段、そば屋ではそば以外のものは食べませんが、そば通ぶるのはこの店では意味の無いことだと感じました。

そういえば、そばの話をしていませんでした。
そばは太めで軟らかく、おばちゃんのつくる「素朴な田舎そば」という感じで、優しさが直接伝わってくる感じです。だしはすっきりしたシンプルなだしです。どうもそばをゆでてからおかずを作られたようです。でもそんなことは問題ではありません。おばちゃん手作りで吉田村の風土を感じさせてくれるそばはここでしか食べられないのです。
そば打ち名人の作るそばとは方向性が180度異なるそばです。田舎のおばちゃんの打ったそばは美味しいとよく聞きます。そば名人にはこの素朴な味、やさしさは決して出せないと思います。そばのウンチクなどなんの役にもたたないと思えるそばでした。それだけ、強く郷土を感じさせるお店、料理、そばなのです。
「たかがそば」のほうが田舎には似合います。
他所から訪れた人に、その土地をより理解し満足してもらうには、季節毎にその土地で取れた食材を使った地元の人が普段から食べている何気ないおかずが一番心に残るのではないかと思いました。

でも、おばちゃん、今度は茹でたてのそば食べさせてね。

大社そば

先日のゴールデンウイーク期間中に出雲大社へたくさんの人が訪れました。
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「平成の大遷宮」として約60年ぶりに一般公開されている本殿を拝観しようと、全国から多くの観光客も訪れ、周辺の旅館や土産品店、そば屋が例年にない賑わいを見せていました。まさに「遷宮効果」と言えます。
大社町内にそば屋は約15件もあります。ほとんどのお店が「手打ちそば」です。大社地方のそばを総称して「大社そば」と名づけ、その特徴を紹介したいと思います。
大社町というのは出雲大社の門前町で、よそから多勢の参詣客が来るところでした。よって、出雲大社の街道筋や参道近くにそば屋が集中し、参拝客相手に商いをしていたようです。割子そばのルーツは参拝客向けの使い捨ての道中弁当であったという説があります。
「大社そば」の特徴はだしにあります。煮干の「どうめいわし(うるめいわし)」を用いてだしをとるお店が多く、独特の甘い香りがします。良質な煮干で丁寧にはらわたを除いてだしを作れば魚臭くなく上品な味に仕上がります。江戸前及び松江周辺と比べればだしの濃度が薄くさらっとした感じです。そば猪口でざるそばのようにして食べるときにはこのだしでは物足りないことでしょう。
割子そばを食べるときは、他の地域のだしより少し多めにかけて食べることをお勧めします。また、地元では出前を注文することが多く、配達中に乾燥しやすいため、時間が経ってからは薄めのだしを多めにかけてほぐして食べるのです。昔のそばを弁当として食べていた時代もやや薄めのだしだったのではないかと想像します。
大社では冠婚葬祭、盆、暮れ、正月と家に人の集まるときには、たくさん出前そばをとり、お客さんをもてなします。
肝心のそば切りは、概していえば太さは中~細で、以前は少し軟らかめに茹でて食べやすいそばに仕上げているお店が多かったように思います。現代人は麺好きとなり「こしのあるそば」を求める人が多くなったせいか、硬めのそばに変化している老舗も増えました。お店の伝統、コンセプトを守りつつ、お客様の好みの変化、時代の変化に対応していくことが大切ではないかと思います。

大社町内のそば店はそれぞれに違う特徴があり、地元に愛されているそば屋、観光客が多いそば屋と上手くすみ分けがされています。私は観光客があまりいない平日に限り行くお店もあります。出雲大社から歩いていける範囲にほとんどのそば屋がありますので、目指したお店が行列でたくさん待つことになりそうなら、ガイドブック等を参考にされて他のそば屋を見つけてください。自分のお気に入りのそば屋を発見できるかも知れません。

大社のお店ガイド
http://www.kankou-taisha.jp/aji/soba.htm


そばとお酒(その1)

新酒の季節がやってきました
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新酒が生まれてくる季節となりました。
そばとお酒は切っても切れない関係と言われています。

江戸の昔から、そば店は、おいしい酒を飲めることを売り物のひとつにしてきました。「そば屋酒」という言葉があるほどで、そばは酒と縁が深いようです。ぶらりときて昼間から気兼ねなくお酒を飲める楽しみがあります。また、一人しんみりと酒を飲む姿はそば屋にはぴたりと合います。私も上京したときの一番の楽しみはそば屋でいただくお酒とそばです。お酒というのはもちろん「日本酒」を指しています。日本酒離れが進んでいるようですが、本物の日本酒はやはり「旨い」と静かなブームとなっています。
お酒をそば通は「そば前」と呼びます。 そば好きの人はそばを食べる前に『ちょっと一杯』とお酒を戴いてからそばを食べることからきています。 そばと酒との関係はこのような背景があり、深まっていったと思います。
しかし、山陰地方はあまりそば店でお酒を飲む習慣がないようです。お昼にお腹一杯そばを食べるか、そば定食で満足されるお客が多いように見受けます。公共交通機関が少なく、マイカーでの来店となるため、飲酒することができない要因もあります。そば屋でお酒を飲みそばを食べる空間、時間を楽しむ習慣がないことはもったいないと常々思っています。(そばとお酒の相性については次回説明します。)

寒い季節(1月~2月)には新酒としてしぼりたての生酒が出回ります。生酒はやはり常温か冷酒で飲むのが良く、香り、旨みが広がります。しかし、寒い季節にはやはり燗酒が飲みたくなるものです。冬のそば屋では燗酒が似合います。そばとの相性としてはやや辛口系のすっきりした味わいのお酒が良いと思いますが、お店の近くの地酒が一番良い相性であることは言うまでもありません。
ところで、そばに含まれる成分には、アルコールの飲み過ぎによる肝硬変の予防にも効果がある、ビタミンB群のひとつであるコリンという成分が含まれています。その意味では、酒の後にそばを食べることは効果的ということになります。
 ただし、いくら脂肪肝の予防効果があるといっても、飲み過ぎては効果が追いつかないことはいうまでもありません。また、ビタミンの一種であるナイアシンは、アルコールで荒れた胃壁を修復する作用があります。さらに、そばの良質のたんぱく質も、修復には好都合であると考えられています。

是非、出雲そば店でも「そば前」を楽しんでみてください。


隠岐そばまつり

たくさんの地元のお客さんで賑わいました
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3月9日、隠岐の島町役場駐車場で隠岐そばまつりが開催されました。
隠岐の島町内の6つのグループが各100食(一杯100円)で出店していました。それぞれの地域でそばの栽培が行われ、地元産そば粉100%で打ったそばに温かいだし汁をかけて食べます。そばが短く切れていますが、それはまたご愛嬌というものです。だし汁と一緒にかきこんで食べると格別です。
だし汁は、
あご・焼きクロエ(グレ)・焼き鯖ベースがありましたがそれぞれに旨みがあります。
犬来・那久・今津・久見・久見上(めかぶ)・尾見そばの各お店は行列で、あっという間に売り切れ状態になったようです。
こんなイベントを観光シーズンに行い、全国に「隠岐そば」の名を広めてもらいたいものです。
各出店の様子
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ひきぐるみと丸抜き

違いを味わってみてください
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        丸抜き                ひきぐるみ

秋に収穫された玄そばが落ち着いて、より味深いそばになりました。
先日、ひきぐるみ(殻ごとひいたもの)と丸抜き(殻、甘皮をとってからひいたもの)の食べ比べをしました。
両者の違いを味わえば、そばの奥深さを知ることが出来ます。
そばの実は中心部ほど清涼感があり白く歯ざわりは良くなります。実の外側になるほど色が黒く、「歯ぬかり」するような食感となりますが香りは強くなります。どれだけひき込むかにより風味、食感が異なる訳です。白いからといって決してつなぎが多いということではありません。色で判断するのではなく、味わってこそ純度がわかるというものです。
写真のそばはどちらも究極と言っていいほどの荒臼(あらうす)仕上げのそば粉で打ったものです。喉越しは良くありませんが、噛むとそばの風味をダイレクトに感じることが出来ます。
ひきぐるみにはそばの力強さに負けない濃いだしが合います。丸抜きにはさわやかな甘み、香りに適合したすっきりとしたやわらかい仕上がりのだしが似合います。こだわりのお店ではもちろん両方のだしを用意しておられます。

出雲そばはひきぐるみのそばですが、外皮をはずし甘皮のついている状態からひいたそば粉もあり、ひきかたにより無限の種類の味、香りとなります。それだけ出雲そばのほうが難しく奥が深い気がします。是非、食べ比べをして自分の好みの味を見つけてください。ちなみに私はどちらも好きです。(差しさわりがない中途半端な意見になってしまいました。)

※ 参考
「そばをひく」は「挽く」と書くのが一般的ですが、石臼でひくときには「碾く」のほうが適しているように思います。そばの製粉方法には機械製粉(ロール製粉)と石臼製粉があります。今回はあえてひらがなで書きました。



節分そば

節分が本当の年越しそば?
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江戸時代の後期には、大晦日ではなく節分に食べるそばを年越しそばと呼んでいました。
立春の前日の節分は大寒の最終日、つまり冬から春への節目です。
出雲地方でも、古くから立春を新年ととらえ、
その前日である節分に年越しそばを食べる習慣がありました。
現在でもその風習が残っている地域があります。
 最近ではコンビニ等の広報により、節分に恵方巻きの寿司を食べる風習が流行っています。そば業界も「節分そば」の由来をもっと説明すればたくさんの人が食べてくれると思います。しかし、年に二回もいわゆる年越しそばとして宣伝することには抵抗があるのでしょうか。業界の策略でするべきことではないのかもしれません。そばを食べる特別な日は地域により異なるのですが、年に何回もあります。
1月(睦月) 元旦そば、初晦日そば
2月(如月) 節分そば、八日そば
3月(弥生) 雛そば
5月(皐月) 端午そば
7月(文月) 土用そば
9月(長月) 神のお立ちそば
10月(神在月) 夷講そば
11月(霜月) 冬至そば
12月(師走) 年越しそば、煤払いそば、討ち入りそば、八日そば、勘定そば

もちろん、これに関係なくそば好きは年中そばを食べています。

「釜揚げそば」と「かけそば」

両者の違いは?縺ッ縺ュ繧・_convert_20100526162156[1]


寒さが身にしみる季節となりました。こんなときお店に入ると、思わず温かいそばを注文したくなります。温かいそばのメニューである出雲地方独特の「釜揚げそば」と一般的な「かけそば」の違いを説明します。「釜揚げそば」はそばを釜で茹で、そのまま釜湯と一緒に器に盛り付けます。あらかじめ温めておいただしを少し器に入れてから器に盛り付けるお店もあります。また、だしはお客さんが好みの濃さで食べてもらえるようにだし入れが付いてきます。冷たいだしを熱いそばにかけるとそのときに醤油のつんとした香りが鼻につくことがあり、それを嫌うお店は温めただしを用意してくれています。
それに対して「かけそば」は茹でたそばを一度水で洗い、絞めてから再度釜で温め、鍋で温めたかけそば用のだし汁(つけ汁より薄い味)と一緒に器に盛ります。一度水で絞めたそばはぬめりがなく、つるつると食べやすいそばとなります。また、最後までそばが軟らかくなりにくいのが特徴です。もともと江戸時代初期は汁につけて食べるものでした。元禄(1688~1704年)の頃からか、これを面倒くさがる男たちがそばに汁をかけて食べるようになったといいます。「ぶっかけそば(かけそば)」と称して食べられていたようです。寒い季節 になるとそばを温め、熱い汁をかけて出しました。これなら器一つですむということで重宝がられ、一般にも大いに広まりました。
出雲地方でも温かいそばはすべて釜揚げという訳ではありません。種物(たねもの)(天ぷらそば、鴨南蛮等)についてはそばがだんご状態になるのを嫌い、かけそば風に調理してお客様に提供します。
種物にはかけそばの調理方法が適しています。
どちらが好みかは、そばの質、そば切りの太さによっても異なると思いますが、「そば好き」は釜揚げそばを好み、「めん好き」はかけそばを好む傾向にあると分析しています。
釜揚げそばはとても奥深いものです。釜湯の状態で味が変わります。また、茹で加減が難しく、食べ始めと終わりではそばの硬さが異なるため器に盛り付けるタイミングに気を使います。冷たいそばよりも少し早めに釜から取り出したほうが良いと思います。私は釜湯がすこし白濁したぐらいでゆでた釜揚げそばが好きです。味と香りがより楽しめるからです。食べ終えるころ軟らかくなっても、そのころの麺はそば汁を吸って旨みが増しています。しっかりと打ったそばはべちゃべちゃになったりしません。やはり出雲そばとしては釜揚げそばに軍配が上がるのでしょう。

釜揚げそば だしは好みでかける
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釜揚げそば だしをあらかじめ少し入れてある(好みでつぎ足す)
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かけそば   つるつると食べやい
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かけそば(ぶっ掛け) 混ぜて食べると美味しい

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正月とそば

初詣にいきました
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元旦、出雲大社へ初詣に参りました。とても寒く天候が悪いせいか、例年より参拝客は少なかったようです。しかし、大社町のそば店は参拝客で賑わっていました。
息子がその様子を見て、「この人たち、正月にそばを食べるなんて変じゃないの。遅い年越しそばだね。」と言いました。あらためて正月とそばの関係を考えさせられました。
昔から出雲大社の門前町である大社町は、よそから多勢の参詣客が来るところで門前町として栄えていました。街道筋にたくさんの商店が並ぶなかで、そば屋もたくさんありました。お宮が近い所程そば屋が多く、そば屋っていうのは出雲大社に参詣する外来のお客に対して商いをしていたようです。現在でも大社町に約15店も存在します。「出雲そば」の名前が全国的に有名になっているのは、全国からの参拝客の土産話として広まったからでしょう。地元住民に根強く愛されているお店もあります。冠婚葬祭、盆、正月など人が集まるときには必ずといって良いほどそばの出前をとる風習があるようです。
あらためて息子にいいました。
「そばは年中食べるものです。このそばのおいしい季節にそば店を素通りするのはもったいない。」と言って冷えた体を釜揚げそばで温めました。

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